授業での使用方法
高校2年必修科目「社会と情報」の情報通信ネットワーク単元で、双方向通信の実習教材として使用しました。授業は①IP アドレス指定によるコンピュータの相互接続、②チャットシステムの構築、③人感センサーと警報機を組み合わせた遠隔防犯システムの作成の3段階で行いました。「社会と情報」におけるプログラミング教育の一環(ドリトル、アルゴロジックの続き)としても位置づけています。実習は4人1組(サーバー側2名、クライアント側2名)、各組2台ずつで行いました。
導入のきっかけ
コンテンツ制作型のプログラミング実習は多いのですが、以前から組み込みシステム型の実習や実機に触れる経験もなくてはならないものだと感じていました。選択科目である「情報の科学」で 『アーテックロボ』を活用した10コマ完結の授業を既に行っていたことから、是非必修の授業内でもと思い、ネットワーク単元での使用を思いつきました。次期学習指導要領「情報Ⅱ」の「情報システムとプログラミング」における課題設定例も意識しています。
アーテックロボを使用した感想
スクラッチベースの開発環境のおかげで、プログラミングや仕組みの理解に集中して実習を進めることができます。組み立て・プログラミングと分担し、生徒同士が必ず協力できる点もよかったです。生徒たちは大変盛り上がり、どの班からも通信が成功した時は歓声があがります!
また、アーテックロボは他社のロボット教材と比べ、自由度が高いことも魅力です。早く完成してしまった班はブザーの音を変えたり、LED の点滅にパターンを作ったりと様々な工夫を凝らしていました。
学習に効果的だった点
●課題解決力の向上(自由度が高いからこそ、「動かない」原因もさまざま。「配線?センサーの種類?プログラム?ネットワーク?」と原因を特定していくことは現実の課題解決の場面と全く同じです)。
●通信ネットワークやIoT といった情報技術への深い理解を促すことができる(座学と連結させた「やってこそわかる」経験が情報科の実習の本質だと思います)。
●情報科に限らず、グループ学習の教材としてもよい。
全国の先生方におすすめするポイント
付属テキストもよくまとまっており、最高のプログラミング教材だと思っています。レンタルキットのおかげで低予算でも導入できますし、アップデートにも強いです。応用範囲の広さも魅力的で、教員自身もあれこれ楽しみたくなります(学校の3Dプリンターで自作パーツを造形する生徒もいました)。また今回の実践のように1コマから任意の時間で使用することができ、プログラミングが初めての先生、時間数にお悩みの先生にもオススメです。
生徒たちの反応
ともかく楽しい、またやりたいという声が多く上がりました。チーム同士でつながるという設定が大変よかったと思います(どうしても高3の実習では班の間で温度差が出てしまっていた)。次年度は付属テキストの実習にもこの設定をどこかで組み込んでみたいと思います。今回は1コマ実施でしたが、2コマ実施にして「警報機」の作成にブロックの組み立ても含むとより生徒の食いつきがよさそうでした(本質からは少し外れますが、ものづくりのよい経験にはなると思います)。